今中大介さんも走行しています。
豊かな自然の中に、多彩なサイクリングコースがある富士川流域。ツーリングの醍醐味が味わえる場所として、全国のサイクリストから注目を集めつつあります。そこで、日本人で戦後初めてツール・ド・フランスに出場した伝説のサイクリスト・今中大介さんに走っていただきました!富士川を並走するコースや、のんびり走る農道、ハードな山道・・・。バリエーションに富んだコースには、雄大な富士山、歴史あるお寺、おいしい食べ物、温泉、地元のおばちゃんの笑顔など、サイクリストにとっての〝ご褒美〟が盛りだくさん。サイクリストへのおもてなしも充実していました。今中さんと一緒に、富士川流域のサイクリングの魅力をご紹介します。
「みたまの湯」は、町内を回遊するコースのスタート地点にもなっていて、サイクリングの間、駐車場に車を停めておくことが可能(要問い合わせ)。また、駐輪ラックがあるので、立ち寄りでも、温泉でのんびり過ごすことができます。
温泉に併設する農産物直売所には、四季の味覚がいっぱいです。方言で「のっぷい」と呼ばれる、この地域の肥沃な大地で生み出された野菜や果物は美味!中でも、ゴボウのように長い「大塚にんじん」は冬の名物。甘みが強く、栄養価が高いそうです。「これ、掘るのが大変でしょう?」(今中さん)。そうです、農家の方が一本一本、丁寧に掘り出しています。
みたまの湯を出発。晴れ渡る青空の下、南アルプスや八ケ岳、鳳凰三山といった名だたる山々が美しい!
「ここからの景色は、ほんと凄い!気持ちいい~」(今中さん)
モモやブドウ、トウモロコシなどの畑が広がる、のどかな農道を走行。眼下には、山に囲まれた甲府盆地の景色が見渡せます。
「この公園、お花見によさそう」「こんな所に古墳がある!」(今中さん)。
普段は気付かない景色に出会えるのも、自転車ならではの魅力です♪
みたまの湯の湯船からは、こんな絶景を堪能できます。お薦めは夕暮れどき。茜色の空に浮かび上がる山々のシルエットと宝石のような甲府盆地の夜景が、サイクリングの疲れをすっかり癒してくれます。
富士川町の平林地区は標高約800㍍。下界に比べ、空気が冷たいのを肌で感じます。ここまでは坂道が続きますが、道はよく整備されていて、小川のせせらぎと野鳥の声が励ましてくれます。
「ここは、いいトレーニングコースだね。自転車の魅力は〝プチ人生〟が体験できること。がんばって峠を越えて、山頂に辿り着く。そこできれいだなって感激して、また楽しみながら下るんです」(今中さん)。・・・深いお言葉です。
平林交流の里「みさき耕舎」では、地元のお母さんたちが打つお蕎麦がいただけます。新鮮な地元野菜も使われていて、美味しい!
冬期は地元特産のゆず茶のサービスが♪
「こういうもてなしは最高!ここまでがんばって来た甲斐があるね。ここで働くお母さん方も気さくで楽しい(笑)」(今中さん)
平林地区に今も残る棚田の風景。四季折々の田舎の風情を感じることができます。農業体験もできるそう。
よく晴れた日には、富士山が望めます。連なる山々の奥に、どっしりと構える雄大な姿は、一見の価値あり!
東京ドーム11個分の広大な敷地内には、「富士川・切り絵の森美術館」をはじめ、芝生広場や大型遊具が楽しめる砦遊具広場、自然観察の森、巨大迷路のほか、バーベキュー場やカヌー場などがあります。365日、24時間使用できる駐車場は広く、回遊コースのスタート地点にも最適。サイクルラックもあります。
「いろんな趣向がある公園で楽しいね」(今中さん)
全国的に珍しい切り絵専門の美術館「富士川・切り絵の森美術館」では、切り絵界を代表する一流作家の作品を常設展と企画展で紹介しています。定期的に開催している切り絵の体験教室も人気です。
「細かい!」。今中さんも、緻密で繊細な作品に感動していました。
売店では、切り絵の体験キットや、はがき、しおりなどが充実しています。
手入れが行き届いた園内では、梅や桜、ツツジ、チューリップ、アジサイなど季節の花々が楽しめます。メタセコイヤの並木など、紅葉の時期もきれい。
クラフトパークを出発。ここから「武田信玄の隠し湯」といわれる下部温泉や、日蓮宗総本山・身延山久遠寺に向かう回遊コースは、日本三大急流といわれる富士川のダイナミックな景観が魅力。富士川をゴムボートでアクティブに楽しむ「ラフティング」や、高瀬舟でのんびり景色を堪能しながら富士川舟運の歴史に触れる「富士川下り」も人気です。
早川町にあるダム湖・雨畑湖は、日によって色を変える神秘的な湖です。ここまでの山道はかなりハード。でも、秘境のような景色は、ほかでは味わえない達成感をもたらしてくれます。
「ツール・ド・フランスが行われる山岳地帯に似てる!こういう所は、また来たくなるね。僕たちは、人が行かないところに、行きたくなるから(笑)」(今中さん)。
雨畑湖をさらに奥へ進むと、まっすぐに落ちる美しい滝が。知る人ぞ知る「見神の滝」です。「こんなに間近で見られる滝があるなんて驚いた。絶対に来てほしい名所だね」(今中さん)。ここまで自分の足で来た喜びと相まって、感動は最高潮に!
雨畑地区の伝統産業にも触れてみました。「硯匠庵」は、江戸時代から、書家たちに重宝されてきた「雨畑硯」の歴史と技術を伝える施設。この地で産出した原石から熟練の職人が作り上げる硯は〝芸術品〟です。
カフェコーナーでは、名物「硯ケーキ」もいただけます♥
「サイクリストなら一度は来てみたい場所。トレーニングにも最適」と今中さんお薦めの身延山。日蓮宗総本山・久遠寺の厳かな三門が迎えてくれます。
久遠寺の門前町として古くから栄えた「門内商店街」は、みのぶまんじゅうのお店や数珠専門店、歴史ある旅館、レトロなカフェなどが並びます。一息つきながら、散策するのも楽しい。
江戸時代から続く老舗旅館「田中屋」では、サイクリストに嬉しい〝おもてなし〟が。自転車を玄関の中まで入れることができ、さらに日帰り入浴が通常800円のところ、サイクリストは500円に(要問い合わせ)!
「こういうサイクリストへの特別なもてなしは、本当に嬉しい!!少し前までは、このウェアー姿を変な目で見られてたから(笑)。今は幸せだなー」。
土日は、山梨の素材をふんだんに使ったランチが、風情あるお座敷でいただけます。コーヒーのサービスも嬉しい♪
この日は、自家製「豆乳プリン」とみのぶまんじゅうをいただきました。「みのぶまんじゅうはカロリーが摂れるし、しっとりしてるから、サイクリングのおやつに最適!」(今中さん)。
スイーツで充電したら、坂です! 今中さん、笑顔でスイスイ上って来ました。さすが!
本堂、祖師堂、五重塔・・・。荘厳な建物が並ぶ久遠寺境内には、外界から切り離されたような静寂が漂います。
「やっぱりこのお寺はスケールが違う!自転車で来たからこそ、感じるものがありますね~」(今中さん)。
春には、しだれ桜の古木が可憐な花を付け、いっそう趣きを増す境内。観桜会も開かれ、全国から訪れる大勢の参詣客で賑わいます。
国道52号線を静岡方面に進んで行くと、巨大なタケノコがにょっきり。県内有数のタケノコの産地・南部町にある「道の駅とみざわ」です。
あくが少なく、やわらかいことで知られる南部町のタケノコ。3月下旬~5月上旬の収穫期になると、道の駅内の直売所には、取れたてのタケノコが並びます。併設のレストランで提供されるタケノコご飯も絶品。また、タケノコのまんじゅうやパイなど多彩な加工品も気になるところ♪
南部町に来たら立ち寄りたいのが「六地蔵公園」。六体のお地蔵様越しに見える富士山は「山梨県の新富嶽百景」にも選ばれた絶景です。ひっそりと佇むお地蔵様の温和な表情に癒されます。
福士川渓谷は、マイナスイオンをたっぷり感じられる場所。特に10月下旬~11月中旬の紅葉の時期は絵はがきのように美しい景色が広がります。
「いや~、富士川流域は本当に走りがいがあるね。サイクリングコースとして、いろんな可能性を感じました。おもてなしが充実していることも良かった。僕自身も、いいトレーニングコースを見つけることができたから、近々、また来ます!!」(今中さん)。
今中さんも絶賛する富士川流域。ペダルで巡って、自転車ならではの魅力を体感してください!!